伊勢丹と言えば、誰もがショッピングバッグのタータンを思い浮かべることでしょう。
2つのデザインは、スコットランド タータン登記に登録されています。
これらは、伊勢丹オリジナルの織物デザインで、2012年に「マクミラン/イセタン」、2014年に「ブラックウォッチ/イセタンメンズ」がそれぞれ登録されました。

(※1)
スコットランド タータン登記所(The Scottish Register of Tartans)は、
全世界のタータン柄を一括統制するためスコットランドが国として管理している機関

生地の工夫。
タータンの手仕事

マクミラン/イセタン

1958年頃、伊勢丹新宿店でショッピングバッグのデザインとして使用してきた伊勢丹のタータン。
「マクミランアンシェント(MacMillanAnc)」。2012年秋に長年にわたり日本におけるタータンのプロモーションに貢献したとして、スコットランド・タータン協から「タータン・アワード」を伊勢丹が受賞しました。この「タータン・アワード」受賞を機に、タータンの原点に立ち返り、あらためてタータンの原型を作成。伊勢丹のオリジナル生地をスコットランドで織りあげ、「糸の色」や「糸の本数」を指定し、織物であるタータン「マクミラン/イセタン」が誕生しました。

(※2)
スコットランド・タータン協会は、スコットランドの大手織物メーカーとタータン小売店が、タータンのプロモーションを主な目的として1995年に設立されたスコットランド政府登録の非営利団体

ブラックウォッチ/イセタンメンズ

1968年「男の新館」のオープン時に導入された「ブラックウォッチ」。ブラックウォッチとは、タータンの故郷であるスコットランドの軍隊が着ていたタータンのことで、黒っぽい色と警備の見張り(ウォッチ)からそう呼ばれるようになったと言われています。46周年を迎えた2014年に、「革新こそ伝統」という思いを込め、デザインをリニューアルしました。デザインはブライアン・ウィルトン氏(スコットランド・タータン協会理事、タータン大使、デザイナー、ジャーナリスト、作家等多彩な顔を持つ(当時))緑、青、黒の3色に新しく日本の伝統色である赤(丹色=にいろ)が加えられました。一日の始まりを照らす太陽と伊勢丹の丹が意味する「私たちのまごころ」を表しています。

生地を織る場合の数に対する色糸の本数

タータンは、定義された順序で繰り返される2つ以上の異なる単色のストライプで構成されるパターンです。
この縞模様は縦(経糸)も横(緯糸)も同じです。これらのストライプの比率は、同様の場合もあれば、異なる場合もあります。伝統的に、タータンは2/2ツイル構造で織られ、生地に馴染みのある外観を与えます。縦縞が同じ色の横縞と交差する場合、単色のブロックが形成されます。異なる色が交差すると、新しい色合いが生まれます。
スレッドカウントは、経糸と緯糸の順番の色のストライプと各ストライプの糸の数を示します。
それはタータンのDNAであると言われています。

スコットランドタータン登記所発行(The Scottish Registe of Tartans)証明書

スコットランド タータン登記所(The Scottish Register of Tartans)は、全世界のタータン柄を一括統制するためスコットランドが国として管理している機関。2009年この登記所が設立される前に記録されたタータンについては、スコティッシュ・タータン・オーソリティ(STA)およびスコティッシュ・タータン世界登録(STWR)の参照番号がそのまま使用されてます。スコットランドタータン登記所が適用している登録基準は、2018年スコットランド・タータン登記法(Scottish Register of Tartans Act 2008)に準拠しています。

タータンアワード受賞

スコットランド・タータン協が設立したタータンアワード。「タータンのプロモーションに貢献した」と認定した個人や組織に対して贈られる賞です。2013年度に設立された6部門のなかのパッケージ部門(Best use of tartan in packaging)で、他部門に先駆けて「タータン・アワード」を2012年11月21日に受賞しました。

(※3)
スコットランド・タータン協会は、スコットランドの大手織物メーカーとタータン小売店が、タータンのプロモーションを主な目的として設立したスコットランド政府登録の非営利団体。

お客さまのお手元へ
お客さまのお手元へ

お客さまのお手元へ

伊勢丹タータンの誕生は、1956年、伊勢丹新宿店にティーンエイジャーのショップがオープンしたことが原点になります。
当時は中学生・高校生の女の子たちの既製服店が日本には少なかった時代。2年後の1958年、無地クラフト紙「TEENAGER’S SHOP」の赤いロゴ入りのショッピングバッグを製作しました。
1960年当時ティーンエイジャーに人気を集めていたのはタータンを使った商品で、タータン柄の服地「マクミランアンシェント」を選定し、ショッピングバッグのデザインを一新しました。
当時品物は包装紙に包んでお渡しが日本では一般的な時代。このショッピングバッグは歩く広告にもなり、「ファッションの伊勢丹」を世に広めることになりました。当時ターゲットとしていた東京山の手に住む良家の子女にファッションアイテムとして受け入れられたことも広まっていった一因と考えられています。
はじめはティーンエイジャーショップ用でしたが、後に婦人、雑貨ショップにも導入していきます。1963年、四つ葉のクローバー柄に包装紙を刷新したことに合わせ全フロアに拡大。その後1968年に「男の新館」(現メンズ館)の誕生に合わせ「ブラックウォッチ」が新たに加わりました。

(※4) 新宿進出30周年に幸運のシンボル「四つ葉のクローバー」が包装紙デザインとなり、伊勢丹のイメージとして定着し、サイズ展開をした「レディクローバーショップ」「イセタンクローバーサークル」(現エムアイ友の会)とクローバーの名称が使用された。

※4

デザインとしての
評価

GOOD DESIGN
 AWARD 2014

「チェック(タータン)が新たになったが、実は当初の原型に戻すかたちでの変更になったのは良い発想。結果として現代的な可愛さが立ち、より馴染みやすくなった。ロゴを洋服のタグのように内側に配し、単なる紙袋ではなくショッピングバッグに昇華させたのも潔い。4種ある袋は一見同じようだが、持ち手の色や柄の大きさにバリエーションがあるなど、細やかな工夫が随所に施されている。また、オリジナル生地を織りあげるなど、原点を大切にしながらも進化し続けるという、同社の理念をショッピングバックという形で具体化している点も高く評価された。」

GOOD DESIGN
 AWARD 2015

「企業の全体イメージを踏襲し、歴史ある重みと都会的なセンスを細部にまでこだわり仕上げた完成度は、たかが紙袋ではない企業ブランディングの大切なツールとなっている。」
補足:2015年に作り上げたBLACK WATCH/ISETAN MEN’Sのショッピングバッグは、伊勢丹新宿店メンズ館の為に「ISETAN MEN’S」を、その他の支店用に「ISETAN」のロゴを洋服のタグのように内側に配した。2020年に「ISETAN」に統一した。

ヴィクトリア&
アルバートダンディー博物館

V&A Dundee Museum
V&A ロンドン初の支館
設計:隈研吾

2023年4月1日~2024年1月14日
TARTAN展 開催

1.Tartan and the grid
2.Tartan and innovation
(イセタンショッピングバッグと製品はこちらに展示)
3.Tartan and Identity
4.Tartan and power
5.Transcendental Tartan

2018年ダンディ市ウーターフロントの中心に位置する。
ミッション:「私たちはスコットランドのデザイン博物館であり、デザインを通じてインスピレーションと力を与えることを使命としています。」
ビジョン:デザインは私たちの世界を形作り、日常生活の一部であり、どこにでもあります。私たちはエネルギーあふれる博物館であり、誰もがデザインを通じてインスピレーションを受け、それが私たちの生活に広範囲に及ぼす影響を認識できるような未来のビジョンを持っています。

「V&A Dundeeのアシスタントキュレーター、ジェームス・ワイリー(James WYLIE)です。この展覧会は、テキスタイル、パターンとして象徴的であるタータンを、スコットランドで30年来初めてクローズアップしています。その中に、イセタンの公式ショッピングバッグと製品を展示することができとても嬉しく思います。1960年代に創られたタータンのイセタンの公式ショッピングバッグは、それ自体が、ファッション・ステートメントであり、タータンの歴史と結びついています。また、日本は、タータンの輸入大国でもあるという背景もあるので、デザイン・インスピレーションの好例です。イセタンのショッピングバッグと製品を展示させていただき、光栄です。ありがとうございます。」

ブライアン・ウィルトンBrian Wilton

MBE.FSA Scot
タータンデザイナー&コンサルティング
Tartan Design & Commercial Consultancy

伊勢丹が創立された1886年当時、スコットランドのブラック・ウォッチ連隊はハイランドの町アバーフェルディで150年近く編成されていた。 連隊の任務はハイランド地方を「監視」し、平和を守ることだった。そのタータンは黒に近いほど濃く、そのためブラック・ウォッチと名付けられ、何年も前に伊勢丹の有名なメンズ・ストアが採用したタータンと同じものである。その店の10周年を記念して、2013年に伊勢丹は私にブラック・ウォッチ・タータンのバリエーションをデザインするよう依頼した。伊勢丹が日本の小売業界において象徴的な存在であり、ブラック・ウォッチ・タータンの伝統と真正性に大きな関心を寄せていることはよく知っていたので、私はもちろん光栄に思い、嬉しく思った。もうひとつ嬉しかったのは、ブラック・ウォッチ連隊が、私のデザイン・スタジオがあるクリーフから丘を38キロ越えたところに創設されたことだ。伊勢丹との話し合いの中で、この記念すべき新しいタータンは、1740年にスコットランドで作られたオリジナルのタータンに限りなく近く、しかし簡単に見分けがつくものにすることに決めた。それを実現したのが、細い黒のガードに挟まれた、エレガントでシンプルな赤のラインだった。赤は平和と繁栄の象徴であり、伊勢丹がアジアで傑出した地位を確立するまでの長い生命線を示すものとして選ばれた。」

ISETAN
 TARTAN
アーカイブ

リニューアル 公式 ポスタービジュアル

公式ポスタービジュアル
 2013年 2014年

ISETAN-TAN-TAN

2014年
 プロモーション動画

ライフスタイルブランド “ISETAN TARTAN”

2016年
 プロモーション

Black Watch/ Isetan Men's プロモーション

2014年
 プロモーション

Photo by Yoshitaka Dazai ⒸFASHION HEADLINE

Black Watch/Isetan Men's × MINI

2014年
 プロモーション

ISETAN-TAN

新聞広告掲載

© ISETAN MITSUKOSHI