新年度を迎える春は、門出や旅立ちの季節。今回は、卒業、進学、就職、転勤など、希望に満ちた新たなスタートを祝福し、励まし、勇気をあげられるような「はなむけ」ギフト、またそのお礼に返す「返礼」ギフトのアイデアを、ギフトコンシェルジュの真野知子さんに聞きました。
進学・就職される方への「はなむけ」ギフト
卒業、進学、また就職などで新社会人になられる方など、これまでの慣れた環境から巣立ち、新しいスタートをきる若者も多いこの季節。希望に胸をふくらませつつも、心細い思いをしている方も少なくありません。 大きな節目を迎える若者へ、人生の先輩として贈りものをするなら、彼らを勇気づけられるギフトを。大人の装いに役立つバッグや腕時計など、いつも身に着けられてお守り代わりになるアイテムはいがかでしょう。
転勤・異動される方への「はなむけ」ギフト
転勤・異動直後は仕事環境や生活環境を整えたりするのに、しばらく時間がかかるもの。新しい環境に適応するためのパワーが必要です。 オフィスや自宅で使える便利グッズや、体調管理に役立つアイテムはいかがでしょう。 オフタイムにリラックスできるバスグッズやキャンドル、シングルの方にもファミリーの方にも楽しめる食べ物や飲み物もおすすめです。 とくに栄転や昇進で転勤・異動される方には、今後の活躍にふさわしい、自分を鼓舞できるような身のまわり品や仕事道具を。 商談の際に見られがちなステーショナリーなどもキャリアと共に質を上げたいものです。また昇進時の心意気を忘れないように、記念に残るようなものを贈るのも選択肢のひとつです。 日本のビジネスマンもグローバル化しています。海外赴任される方には、海外製品より日本のものが好まれる場合もあります。
自分が転勤・異動する際の「返礼」ギフト
転勤や異動でお祝いや激励の「はなむけ」をいただいたら、「返礼」のギフトを贈りましょう。 その代表的なアイテムがハンカチです。選ぶ品によって、デイリーユースにもなれば、特別な日の一枚にもなります。予算と相手のイメージに合わせて、豊富にあるセレクションの中から、なぜその一枚を選んだのか。その理由をお礼のメッセージとともに贈ると、より気持ちが伝わるギフトになります。 またお菓子などの食べ物も人気があります。ランチタイムの後のおやつに、小腹がすいた時にちょっとつまめるものが喜ばれます。職場の皆さんで召しあがれるように、個包装になっているものがベター。内容のバラエティが豊かだと、より楽しんでいただけるでしょう。
想いを伝える工夫
ギフトにはメッセージカードを添えましょう。どんな想いを込めて贈ったのかを、相手にしっかりと伝えましょう。 またギフトの第一印象を決めるラッピングも、贈り物の大切な要素のひとつです。ラッピングは後に残らないものですが、より気持ちを込めたい場合には、リボンにその季節らしいモチーフやチャームなどをプラスするのもおすすめです。 わー素敵!と思わせたいか、クスッと笑わせたいか、そんな事も考えながら自分らしい演出ができると思います。どちらにしても、贈りたいと思った理由とその品物を選んだ理由を伝えることは大切です。「ありがとう」の一言でも、手書きには想いや人柄が現れるので、たとえ中身がささやかなものでも、カードを添えるひと手間は惜しまないように心がけましょう。
ギフトの醍醐味
ギフトには「答えはひとつではない」というところに、それぞれの想いを託せる許容の広さと、多彩さのある面白みがあります。 相手がこうきたから、こちらはこう返そうとか、ゲームのように楽しむことだってできます。 多彩なセレクションの中で自分の気持ちに合う品物を選ぶ楽しさ、相手を想う気持ちを託せる一品との出合い、それも贈る側の醍醐味です。 ちょっとした会話から相手のことを推し量り、折を見て日頃から良いなと思ったものに一筆添えて贈る。同様にいただいたものからもセンスや技を学んでいけば、きっとギフト選びが楽しいものになると思います。 ちょっとした手みやげから季節のご挨拶、ライフイベントのお祝いなど、ギフトにはさまざまなシーンがありますが、いずれにしても相手のライフスタイルになじむものかどうかがポイントだと思います。それは、相手の暮らしに彩りが生まれるものであるかどうか、ということです。 贈る相手には、その品物があるからこそのひとときが生まれます。家族で食卓を囲む時間、ひとりでホッとひと息つける時間、そういった日常に至福の時間を贈ることができるのが、ギフトの素晴らしいところではないでしょうか。そういうことが「贈ってうれしい、貰ってうれしい」の素敵な連鎖のはじまりだと考えています。
ギフトコンシェルジュ。手みやげなどの日常的で身近なギフトから、引出物などのハレの日のギフトまで、多彩な贈りものシーンに合わせたモノやコトを選定。著書に『大切な日のためのギフトマニュアル』(マーブルブックス刊)。メディアへの出演や女性誌での連載(The New York Times Style Magazine日本版『真野知子の贈りものごよみ』、マガジンハウス an・an 巻頭リレー連載『FOOD NEWS 真野知子のおいしいギフト』他)、選考委員、商品企画、プロデュース業など、活動は多岐にわたる。