日本のメイクアップアーティストの草分けである、RUMIKOさん。昨年新しいブランド〈アンプリチュード〉を立ち上げ、また新たな挑戦をしています。単身ニューヨークに渡って学んだこと、自分の夢を叶えるため必要なこと、これからの夢などを教えていただきました。
一人の時間が教えてくれること
今は、とっても便利な時代。FacebookとかInstagramとか、良いところはあるんですけど、でも私はやっていないんです。なぜ、いつも誰かと繋がっていないとダメなんだろう?それが分からなくて。人との関わり合いって重要だけれど、まず自分というものを知ることが大事。友達や、家族や、仕事の仲間も大切にしなきゃいけない。周りを大切にできる人は、自分を知っていないとなれないと思うんです。
よく「一人でいる時間をつくるといいですよ」って言うんです。一人で街を歩く時間とか、土曜日だけは自分の時間をつくるとか。そうすると段々、自分というものが見えてくる。自分はなにが好きで、なにが嫌いで、なにをやりたいかっていうのが分かると、考え方がクリアになると思うんです。それは、ニューヨークで暮らしていて学びました。自分のことがわかると、自信を持って毎日、目標に向かって歩んでいけると思います。
覚悟を決める。努力する。
中学生のときからメイクアップアーティストになりたかったんですけれど、日本にはメイクの学校が無くて。それで、ニューヨークに渡ったんです。自分がやりたいことは分かっていたけれど、その夢を実現するには、ニューヨークに行かないといけなかった。覚悟はいるじゃないですか。言葉もできなかったし、あのときは1ドルが300円以上したし。自分がちゃんとしていないと、本当に無駄な時間とお金になってしまうから。
欧米の人たちは、自分をアピールすることが上手なんですが、日本人はそういう風に育っていないから、その点ではやっぱり劣ってしまう。でも、私にできることを努力し続けていたら「RUMIKOはおとなしくて、もくもくと仕事をする」って認められた。与えられた状況の中で、最大限努力するのが大事かな。
自分を強くするために
もちろん、世の中は便利になっていかないといけないんですけど、努力や、苦労する事が無くならないといいな、とも思っています。一生懸命に努力して、夢を叶えるということは、大切なことだから。便利じゃない、困難な道も歩いた方が強くなれる。どんな人でも、絶対に壁にぶつかったり、困難なことが起きたりするから。ずーっと楽になんて暮らせないから、そういうときに元気で生きていけるように、自分を強くしていくといいんじゃないかな。自分との戦いだ、といつも私は思っています。
ただ、やりきる
まず、自分が何をやりたいか。どういう人間として生きていきたいか。夢は、無理して作らなくてもいい。でも、もしあるんだったら、できる限り実現できるように努力して、目標に到達するためにはどうしたらいいのかって、自分なりに考えてほしい。人生って自分との戦いだから。人とは比較しなくていいんです。自分がやりたいことを、ただやるだけ。一歩ずつ、一つずつクリアしていれば、なれるから。難しく考えないでいいんです。自分が描いてた夢を一つやりきると、次にフッとやりたいことや夢がまた出てくると思います。
メイクが後押ししてくれるもの
メイクって、表面的なものと見られがち。朝起きて鏡をみたとき、仕事や育児でストレスが溜まって疲れていたりする。そんなとき、ちょっとファンデーションを塗って肌を綺麗にしたり、アイメイクをしたり、大好きな色の口紅を塗ってみたりするんです。そうしてお化粧をして綺麗になった自分を鏡に映してみると、あ、今日も頑張れるかなって思えます。綺麗になると、女性として、人間として、すごく自分に自信が持てたり、自分を元気にしてくれる一つの要素。その人がポジティブに一日を過ごせるような、そんな後押しをしていける商品を作っていきたいと思っています。
新しい夢
〈アンプリチュード〉は、大人の女性に向けたブランドにしていきたいと思っています。いろんな経験を積んだ人間の、愛し方とか考え方とか、生き方とか、そういう人間としての美しさを見出せるような提案をしていきたいと思っています。世の中にも、少し貢献できたらいいなと思います。例えば、素材には環境に優しいものを使っていきたいと思います。化粧品を作るだけじゃなくて、人間として後の世代に貢献ができるといいなと思っています。これからの若い人たちが今の世の中を背負ってくれるわけだから、私たち大人がちゃんとしなきゃいけない。
今の夢は〈アンプリチュード〉を本当にいいブランドに育てていくこと。そのほかにはないんです。
やっとブランドとしてスタートラインに立てたかなと思うので、1日1日頑張って、いい商品を作っていきたいと思っています。
RUMIKO るみこ
1980年ニューヨークに渡り、その後メイクアップアーティストとして活動。
AMERICAN VOGUEにてデビューし、ハイエンドな世界各国の雑誌・広告等で活躍。世界のメゾン、トップモデル、ファッションフォトグラファーからも絶大な支持を受けて幅広く活躍。
一流ファッション誌の表紙や有名ブランドの広告を手掛け、多くの有名ハリウッド女優に専属メイクを頼まれるまでに成功。NYを拠点としながら、1997年 オリジナリティのあるコスメティックスブランドを日本にて立ち上げる。
15年に渡りクリエイティブ ディレクターとしてクリエイションを発揮し、人気ブランドに押し上げた後、2013年7月契約終了。2018年6月「Amplitude」クリエイティブ ディレクターに就任。