日本を代表するブランドの一つである〈sacai〉。ブランドコンセプトは「日常の上に成り立つデザイン」です。このブランドを立ち上げ、牽引する〈sacai〉デザイナーの阿部千登勢さんに、クリエーションと、現代へ向けた視点について伺いました。
「真実」を見極める目を持つ
現代は、さまざまな情報が溢れ、世界中どこにいてもあらゆるものにリーチできる時代です。そんな時代だからこそ、自分にとって何が大切なのか「真実」を見極める目を持つことが必要だと思います。ファッションの分野においても、ファストファッションからスポーツブランド、ラグジュアリーブランドに至るまで、あらゆる組み合わせの選択肢が与えられています。
私たちのブランド、「〈sacai〉」では、他では見つけられない、特別なピースを作ることを心がけています。たくさんの選択肢があるなかで、ファッションを通して自分をどう表現するか、自分がどうありたいかを一人ひとりがよく考えることが大切だと思うからです。
吸収し、挑戦し続ける
〈sacai〉では、基本的には自分自身が着たいもの、身につけたいと思うものを作り続けていますが、無意識のうちに、東京で送る毎日の生活や、そこで目にするものから多くのインスピレーションを受けていると思います。日々、服作りにおいてもビジネスにおいても、良いバランスを見つけることを大切に考えています。これからも、さまざまなものを見て吸収し、常に新しいことに挑戦し続けていきたいです。そして、〈sacai〉らしさを保ちながら、人をあっと驚かせるような、遊び心のあるユニークなクリエーションを続けていこうと思っています。
阿部千登勢 あべ・ちとせ
デザイナー。専門学校卒業後、数社でアパレルパタンナー、企画を担当。自身のブランド〈sacai〉を1999年にスタート。〈sacai〉のコレクションは、「着たいものを、着たい時に、着たいように着る」という自身の考えを体現。特定の機会に留まらず、日々のさまざまな場面において成立する「日常の上に成り立つデザイン」をコンセプトに置く。2009年10月より、ウィメンズコレクションでパリ ファッションウィークでのショーをスタート。現在はウィメンズ、メンズともに各シーズンの最新コレクションをパリで発表している。